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USB接続狂の宴<2>

USB接続狂の宴<2>【完全な覚悟の日】

僕はまず、彼女と個人的に校外で会うことを目標に定め実行した。もちろん怪しまれぬ様、授業以外の話などなるべくしない。上辺だけでない授業の話をするために、研究者さながら勉強せざるを得なかったが、それが彼女を手に入れるための第一ステップになると考えればさほど苦でもない。そして、ふとした会話の中に真剣な学問への熱意を織り交ぜ、いかにも彼女が助手として教授に関わっているからこそ会話をしたいと思われるように努めた。

不自然ではなく、自然に僕が見ているのは彼女自身ではないと強調し、聞きたいことがあるからとお茶に誘い出す準備を進めた。もしかしたら彼女を手に入れる際に一番骨を折る作業かもしれないと思った。どんなに準備万端に計画を立てても、彼女を目の前にすると緊張からか、100%シナリオ通りにはいかない。これが恋愛における独特の感情であると理解はしていても制御できない。失敗は許されないからこそ、慎重にならなければいけないのに、今すぐにでも彼女を連れ帰ってしまいたいと、湧き出る衝動を抑えるのが大変だった。



―――――――――――――――――――――



そして今、上原さんは僕の部屋にいる。彼女は眠っている。

彼女を誘い出し喫茶店で研究課題についての面倒な話をした。今までの彼女との会話で彼女が食いつきそうな方向性を考え、あえて彼女が助言できる範囲ギリギリの路線で頭を悩ますフリをする。真剣で濃密な内容の意見を出し合いつつ、その会話の内容が彼女にとっても大事だと思えるようにしなければならない。僕の下半身にはもちろんUSBケーブルが巻きついているのだけれど、この時ばかりはケーブルに意識を取られるわけにはいかないと、必死でその空間を作り上げた。

そしてどうしても見てもらいたかった資料を自宅に忘れてきてしまったと僕が落ち込んで見せると、彼女はここで待っているので持ってきてもらいたいと言ったのだ。ここで待ってでも僕の資料を見たいと思わせられたことに、この先の成功は目前だと自信がついた。僕は申し訳なさそうに言った。

「ここまで往復で1時間かかってしまいます。できれば僕の自宅に近い喫茶店まで一緒に移動してもらえませんか?たぶん電車の方向が一緒でしたから上原さんのご自宅からも逆方向ではないと思うのですが…。」

すると上原さんは何の疑いもなく笑顔で了解の返事をし、僕は自宅近くの喫茶店に彼女を誘い出すことに成功したのだ。そこで彼女の飲み物に睡眠薬の粉末を入れて眠らせ、ここまで連れてくることができた。こんなふうに眠ってしまう前は意識朦朧と起きている感じで、肩を貸しながらふらふらな彼女を支えつつ歩いた。

睡眠薬という薬物を使うのは初めてだったのでそれなりに緊張はしたけれど、こんなにもうまく事が運んでいるのが嬉しすぎて信じられない気分だった。万端に準備が整えられたこの部屋で、彼女をこれから手に入れられると思うとその美しい寝顔を見ている今のこの時間も幸せで仕方ない。もしもこのまま彼女がずっと目覚めなくてもそれはそれでいいかもしれないとも思えるくらい、愛する気持ちが膨れあがっていくのが分かる。

彼女をベットの上に綺麗に寝かせてから、玄関にある彼女の靴を整え磨いた。上原さん本人を見ていると落ち着けない情けないこの恋愛初心者である自分の心を落ち着かせるためと、彼女が今この部屋にいる現実を受け止めるために。モンシロチョウの幼虫のような薄い黄緑色のパンプスにはグレーの細かい傷がついていて、その傷を優しくなぞるように拭き、少しでも傷の色が薄くなればいいと心から思った。彼女を包む物体に向けられる愛情が存在することもこの瞬間に学ぶことができたと嬉しくなった。黄緑色の靴を抱きかかえた後、そのつま先をそっと舐めると、土や砂独特の食物ではない自然な不味さにビニールの匂いが混じっていて、背中のあたりがぞわっとするほど気持ち悪かった。愛しいモノが気持ち悪くて不快だと感じる自分が悪魔のように思えて苦しくなった。

それから僕は静かに靴を置き、上原さんの眠るベットへとゆっくり歩いた。そして透き通るような色の白い彼女の寝顔を、瞬きをするのも惜しいと思いながらいつまでも見つめていた。



―――――――――――――――――――――



僕は何時間、上原さんの寝顔を見つめていただろう。時間の感覚はないが時計を確認すると4時間が経過していた。上原さんは小さく寝言のように唸るような声を上げ、ゆっくりと目を開く。静かでささやかな幸せの時間が終わる瞬間だと思った。そしてささやかな幸せから、最大の幸せの瞬間へと進化する瞬間でもあることを僕は知っているから、少しだけ怖いと思う気持ちを抑え込むように、期待を膨らませることを意識的に努めた。

僕は彼女が寝ている間に、大変申し訳ないとは思ったけれど手足を縛らせてもらった。でも寝ている間に口を塞ぐ行為はあまりにも酷いと思われたのでやめた。それは彼女が目を覚ましてからでも充分だ。

上原さんは目を開けたけれどもまだこの状況を理解していないらしく、天井を眺めたままボーっとしているように見える。彼女が何か言う前に口を塞がせてもらおうと思う。彼女の思いや気持ちもあるのだろうけれど、それは後からゆっくり聞いてあげることにして、今は一刻も早く僕たちが繋がる為の準備を行わなければいけない。僕はボーっとしている彼女の口の中に程よい量のガーゼを突っ込み、目を見開いてびっくりする彼女に笑顔を向けながらも、しっかりと何重にも猿轡を施した。音は出せるけれども言葉にはならない。くぐもった音は大きな音にはなりえないからたぶんこれで大丈夫なはずだ。僕は何が起きているのか分からなくておびえている上原さんに優しく話しかけた。

「すいません、少し苦しいかもしれませんが我慢してください。
上原さん。あなたは本当に美しいです。僕はあなたを愛してしまいました。」

愛の告白がこんなにも恥ずかしいものだとは知らなかった。思わず顔が赤くなってしまうくらい、愛していると口にするのが恥ずかしかった。けれど不安であろう彼女に対しての最低限の礼儀だ。まずは僕の気持ちを彼女に知ってもらわなければ彼女の恐怖が大きくなるだけで、いいことは一つもない。

「う゛ーっ、う゛う゛う゛ぐぅう゛う゛う゛う゛!」

彼女は自分の置かれた状況をだんだんと把握していったせいか、突然獣のような音を立てて暴れだした。でも猿轡のおかげでその音はさほど大きくも感じられない。そして手足はしっかりと固定するように縛っておいたのでそこから動くことは出来ない。こんなに激情的な彼女を初めて見た。いつも静かでクールな雰囲気を漂わせる彼女の見てはいけない面を見てしまったような気がする。でももう引き返せない。それに僕が彼女を欲する気持ちは変わらない。

彼女の恐怖が伝わってくると、僕は可哀そうだと思う気持ちがあるのに、それを軽々通り越して彼女に更なる恐怖を与えてみたくなる。不思議な感覚だった。愛しているのになぜそんなことを思ってしまうのだろうと思いながらも、僕は彼女の耳とその下の首を静かにそっと触った。黄緑色の靴を触る時よりもはるかに僕の心臓はドキドキした。柔らかく汗ばんだ彼女の肌が僕の指を吸いつけるようだった。彼女は小刻みに震えていて、目を見開いて僕を見たあと、大粒の涙をぼろぼろとこぼした。そんな涙の一滴さえも愛しくてたまらない。全て拾い上げて小瓶に詰めたら毎日の食事の調味料変わりに使いたいくらいだ。どうしてこんなに彼女を好きなんだろう、僕は彼女さえいれば他にはもう何もいらないのではないかと思った。

「ぐぅううう、うぐぅう、う゛っう゛っう゛っっ、」

彼女は恐怖の色をした瞳で僕を見つめ、何か言いたげにうめき声をあげる。声にならない音を発する彼女に優しくしたい、恐怖を与えたい、触りたい、近づきたい、愛したい、繋がりたい、僕はいろんな感情の葛藤を経験する。でも、やっぱり僕は彼女を愛しているから優しくしたいんだと思った。僕は早く彼女をその恐怖から解放してあげたい。だから包み隠さず僕のことを説明しようと思った。僕を知った彼女がどんな感情を抱くかは、現段階では僕にはわからない。恋愛は計算では測ることができない部分があるものなのだから、時に答えがわからなくても進まなければならないのだ。

「上原さん、僕はこれからあなたと繋がるためにこの状況を作りました。僕はあなたを愛してしまいました。僕は、上原さん、あなたと繋がりたい。でもあなたと本当に繋がるためにはこのUSBケーブルが必要なんです。」

彼女の瞳の恐怖の色は変わらない。小刻みに首を横に振り、「否定」を表す動作を繰り返している。それでも僕は賭ける。僕たちが本当に繋がった時に感情は変化するはずだ。僕の行おうとする行為が、2人の最上の愛のための道のりだということを、彼女が今理解できないとしても、いつか必ず理解する時がくると信じて。

「このUSBケーブル、ちょっと恥ずかしいんですけど、できるだけ離れ離れになりたくないという僕の心理状態が反映してしまって、ケーブルはみんな短めなんです。長くても繋がることには変わりないのにそんなことを思ってしまう自分が恥ずかしいです。でもそれだけあなたのことを愛しているんです。分かってください。」

「ふぐぅうううっ、ぐふううぅ、」

「ケーブルで繋がるということは、僕たちの身体にコネクタを接続する部分を作らなければなりません。簡単に言えば穴です。身体に穴をあけなければならないのです。実は僕の方は昨日のうちに穴を開けておきました。USB端子と同じサイズでキレイに切り取るには何度か失敗もしましたが、でもかなりうまく切り取れるようになりました。でも残念ながら相当な痛みを伴います。それでもあなたと繋がるためですから我慢できますし、あなたの為の痛みだと思うとだんだんと気持ちよくもなってくるんですよ。愛の力って不思議ですね。」

僕はゆっくりと自分のシャツの裾をまくり、僕の脇腹に開けられたカサブタ混じりのいくつかの穴を彼女に見せた。彼女は見開かれた瞳から涙を溢れさせながら、首を横に振り続けている。

「ふぐぎぅぅぅっ、っつ、ぎぃふっ、ぎふうぅぅぅぅ!!!」

彼女の発する音が少し高くなった。

「上原さん、あなたの身体に開ける穴の場所は決めてあります。勝手だとは思いましたが、僕の身体に開けられた端子に合わせてもらわないといけないのです。あなたに開ける初めの穴は、太もも内側にさせていただきます。脇腹と太ももですと、ケーブルに余分なたるみもできませんので丁度いいと思います。今日はわりと短めのケーブルしか用意できませんでしたが、今度少し長めのケーブルも用意しておきますね。」

「ぎぃいいいっ、ふぎいぃいぃぃいい!!!」

彼女は正常な人間ではないと思えるくらいの音を出し続ける。

「大丈夫ですよ。美しく綺麗な端子を作りますから安心してください。…ただ麻酔は使いません。少し痛みが伴います。それは僕のことを考えて少し我慢していてくださいね。大丈夫です、僕も麻酔はなしでも平気でしたし、痛みを経験しないと大切さもわからなくなっていまいます。」

「ふぎゃぅううううっ!ぐぎぎぎぎ!ぐぎーっ!ぐぎーっ!」

かん高い悲鳴、彼女はガタガタと震えている。でもここを乗り越えて僕は彼女と結ばれる。服の上からでも、透視するかのように彼女の太ももの内側だけに意識を集中していくと、悲鳴は雑音のように遠くなる。

「それでは始めますね。」

僕は上原さんのスカートに手を入れ、ゆっくりとまくりあげた。大きく震える彼女の膝を掴むと彼女は跳ねるように暴れだした。まるで言葉の通じない動物を保護するように、僕は優しく、でも彼女は狂ったように怯え、叫び、泣いている。それでも愛を信じ、彼女の膝を強く抑え太ももの内側を固定するように自分の体重を使ってのしかかった。

目の前の太ももは、血管の緑と真っ白な肌が美しく、そこに真っ赤な血液が流れると思うと少しだけ興奮してしまう。でも目的は血液ではない。その肌を綺麗に切り取って、美しい穴を作ることだ。僕の美しくもなんともない肌ではないのだから失敗は許されないと思った。




大切に大切に…美しい上原さんの肌に完璧な端子を…

これで僕たちは繋がることができる…

ケーブルでちゃんと繋がったら、身体を重ねよう。

心はケーブルで手に入る。身体は心がなくては重ねてはいけない。

上原さんの表情は恐怖に歪んでいるけれども、大丈夫。

繋がりさえすれば、全ての意味を理解するはずだ。

だから頭のいい女性でなければいけないんだ。







「さぁ、いきますよ…」

真っ白な彼女の皮膚に細いペンで目安の線を入れる。ミリ×ミリの長方形を正確に書かなくてはいけない。彼女が動くと線がぶれる。これでは少しサイズが違ってきてしまうかもしれない。少し力が入りすぎて、肌に食い込むペン先が痛かったのだろうか、上原さんは更に大きな音を出して叫びだした。

「う゛ぎぃいいー、ふぅごぉぉおお、ふんぐぅううううむ、ずしゅーずしゅー、」

口がきけないようにしっかりと猿轡を施した彼女であるにもかかわらず、濁点のついたような大きな悲鳴が部屋中に響き渡る。豚の悲鳴のような醜い音が彼女の鼻から漏れる。それから彼女の下半身がびしょびしょに濡れた。アンモニア臭が立ち込める。恐怖のあまり小便をもらしてしまったのだ。PCの中の恋人とは違い、現実の生身の女性にはこんな醜さもある。それでも僕は、僕と彼女の為に作業をやめるわけにはいかない。彼女は泣いていた。悲鳴と嗚咽で塞がれた口が苦しそうだった。息が苦しくないように鼻水を丁寧に拭く。もらした小便もあとできれいにしてあげよう。彼女の泣き顔も、醜く苦しそうな表情も全て愛さなければいけないと思った。愛とはきっとそういうものだ。

完全な覚悟を今、僕は決めた。
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| 【ホラー】USB接続狂の宴 | 00:13 | comments:4 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT

お久しぶりですw

とてもおもしろかったです(*^^*)
USBを体に…ってのが怖かった…
続き楽しみにしています!

| 想 | 2012/03/08 19:46 | URI |

>想様

◆コメントありがとうございます◆
想さん、こんばんは。
USB接続狂の宴、こんな恐ろしくド変態な物語を面白いと言っていただき大変うれしく思います。
ありがとうございます~<(_ _)>

麻酔もなしに身体を切り刻もうとするその狂気と愛を不気味に表現できたらいいなぁと思っております。

| 玉蟲 | 2012/03/08 21:21 | URI |

怖い。切ない。エロい。
でも、USB接続という所を、ふと真剣に考えてみますとおもわず笑えます。

サイコ男の切ない心境がとてもリアルに描かれてますね。
そして捕まった女の心理もよく伝わって来ます。

昆虫採集。
採集するだけでは満足できない異常性。

SFサイコは玉蟲さんの得意中の得意分野ですね。
面白い。
すごく面白いです。
続きを楽しみにしてます。


| 愚人 | 2012/03/11 13:16 | URI |

>愚人様

◆コメントありがとうございます◆

SFサイコが私の得意分野Σ( ̄Д ̄;)
なるほど、そうだったのか……。自分で自分のことは分かっているようで解っていません。解っているのは、純愛だろうが、官能だろうが、ホラーだろうが、ミステリーだろうが、頭のオカシイ人の世界で成り立っている物語しか書くことができないということです。まともな人たちが繰り広げる物語なんて私にとっては面白くもなんともありませんから、書く気もしないし、書けないのです。最近そのことに気づいた次第でございます。

BGMに私の頭がおかしくなりそうなとっておきのヤツがありますので、それを聞きつつ書きあげれば更に怪しげな物語が書けるでしょう。ホントにおかしくならない程度に頑張ります(@_@)

| 玉蟲 | 2012/03/11 19:45 | URI |















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