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B面トライアングル<21>

B面トライアングル<21>【絶体絶命、かずみの番…】

浴室は普通の浴室っぽい空間ではなく、真っ黒なタイルに真っ黒なバスタブ、ラメ入りの黄土色で統一された洗面器等のバス用品の中には見たことのないようなものがあり、私は少し入るのが怖いと思った。

ここはいかがわしいところであるから、こんなふうになっているんだ。そしてそのいかがわしいところになぜ、自分がいるんだろうと思わずにはいられない。性行為のための館で性行為をするオトナたちの醜さが頭をよぎる。オトナになることとは一体何なのだろうと、普通すぎた部屋の中で感じなかったことを浴室で考えさせられた。

そして彰人さんは私の肩を抱き、浴室の中へと連れて行く。彰人さんの白い液体を練り込まれるように広げられた乾いた肌に温めのシャワーをかけられるとそこは少しぬるぬるとした感触がした。

身体をもっとちゃんと洗いたいのに、彰人さんはシャワーのお湯を軽くかけるだけ。ボディーソープは身体の匂いが消えるからと使わせてもらえない。そのために私に1人で浴室を使わせない彰人さんの変態レベルはやっぱり高いとしか言いようがない。

それでもお湯をかけながら優しく私の身体をなぞる彰人さんの指先に心地良さを感じてしまう自分がバカみたいだ。そしてずっと上を向きっぱなしの彰人さんの下半身のアレが嫌でも目に入るから困ってしまう。男の人は見た目でこんなにもヤル気具合が計れることを知った。複雑な気持ちになる。そのヤル気の内容は恐ろしくて聞けないし、彰人さんの頭の中なんて見ることができたら、私にとってはホラー以外の何物でもないんだろう。

この後の無事でない自分が心配だ。彰人さんは「かずみの番」とおかしなことを言っていたのが気になる。恐ろしくてもすがりつく腕は悪魔の腕のみ。私がもっとオトナだったらこんな場面もなんとも思わないものなのだろうか。悪魔の腕を引きちぎって振り回せるくらいのオトナに今すぐなりたい。

結局シャワーを浴びたとは言うよりは、お腹に塗り込まれたソレだけ流した程度で彰人さんは「はい、終わり。」と当然のような顔で言った。私はものすごく文句がある。ありすぎる。でもここで文句を言っても暴れても泣いても事態は変わらないから、また能面のように無表情になって、何も言わずに彰人さんに身体を拭かせていた。そして大きなベットへと連れて行かれる時、ゆっくりと歩きながら学校の体育館で予防注射の列に並んだ時の気持ちを思い出した。怖いというよりも嫌だと思っていた予防注射は終わればたいしたことはなかった。だからコレも終わればたいしたことなない。きっとそうに違いない。怖くない、嫌なんだ。今も同じ気持ちだ。必死にそう思い込もうとしている自分をどこか冷静な自分がバカだと思っていた。



「かずみぃ…オレ、かずみが好き過ぎて狂ってるかもしれない。」

「………。」

ベットに私を寝かせた彰人さんは、食い入るように私を見下ろして言った。私は何と答えていいのかわからない。

「狂ってる」という言葉に対しては、まったくもってその通りだと思うけど、こんな裸で抱き合うような世間的に言われる「濡れ場?」で、「はい、あなたは完全にオカシイです、狂ってます」と言ってもいいものだろうか。でもよくないと言われてもぜひ言いたい。だって数々の今までのびっくりで強引で気持ち悪い彰人さんの行動。狂っていないワケがない。好きな人が自分を好きなのは嬉しいことだけれど、狂ってるのが嬉しい人はいない。問題はいつもそこだ。私だって彰人さんがマトモだったらこんな迷いもなくストレートにメロメロにさせられていたはずだけど、狂っているからそうなれない。たぶん私にはこの先「自分も狂う」か「完全に逃げる」かしか選ぶ道はなくて、彰人さんを嫌いになれないなら自分も狂うしかないんだろうと思う。それでも人はそう簡単に狂えない。何をきっかけに狂えばいいのかもわからないし、できれば狂いたくない。

「彰人さんは狂ってると思う。自分でしてる姿は変質者みたいだった。普通そんなの見せないよ。だから狂ってる。」

いつものように私の身体に手を伸ばし、撫でまわし始めた彰人さんにはっきりと言ってやった。

「だから見せたいくらい愛してんだって。変質者ってヒドいなぁ。でもそれならかずみもこれから変質者ってことになるよ?」

彰人さんは恐ろしいことを言う。でも私は変質者には絶対にならない。彰人さんが勝手にする行為は私にはどうにもできないけれど、私が自分ですることに関しては言う事を絶対に聞かなければいいだけのハナシだ。

「私は変質者にはならない。そこまではついてけない。…ケイちゃんなら絶対そんなこと言わな…っ…痛っ…、」

彰人さんのムカムカする言葉につい、ケイちゃんのことを持ちだしてしまった。私のふとももをなぞっていた彰人さんの手に異様に力が入った。

「…そのうち慶太暗殺計画立てるかもな。早く別れてくれないとヤバイよ?」

彰人さんは自分が公認フタマタを決めたくせに、暗殺計画なんて物騒なことをニコニコしながら言う。彰人さんが言うとシャレに聞こえないから怖すぎる。ケイちゃんよりも彰人さんの方が本当は面白くないのかもしれない。独占欲のような感情は確実に彰人さんの方が上だ。ケイちゃんのことに関してはこれ以上触れない方がいい。私の返答により下手に怒らせても、こんな状況だとまたドびっくりな嫌なことをされる可能性もある。

余計なことを答えないでこの場をやり過ごすには、答えられない状態に持っていけばいいことを私は彰人さんからもケイちゃんからも学んでいるから、もうそれくらいはできるんだ。私は彰人さんの、私の身体を撫でる手を捕まえて自分の方へと引き寄せた。そしてラインの美しいその首に両手を回して私からゆっくりとキスをした。

ほら、もう大丈夫、彰人さんは嬉しそうに激しく答えてくれる。こうやって少しずつレベルアップしているんだから、いつまでも好き勝手にできると思うなよ…と考えながら唇を重ねていた。

「ぅんん…んんっ…んっ……。」

彰人さんはそれからそのままいつものように私の身体に舌を這わせる。首筋からだんだんと下へ。私はゾクゾクと鳥肌と格闘しながら快感へと変わっていく瞬間を待つ。彰人さんも私の小さな胸に文句はないみたいだから別にいい。恥ずかしくたって仕方ない、ないものはないんだ。彰人さんをそんなに喜ばせたくない心理が働くから、なぜかケイちゃんに見られるよりも開き直れるのが不思議だ。それに変態だから、私が気遣ってあげても意味はない。変態の心理なんて気遣いようがない。

「……っあぁっ…っふぅっ…んっ…。」

ゾクゾクな快感と一緒にこんな考えごとができるくらいにはこういう行為にも慣れたといえる。唐突に少しだけ漏れる小さな声がまだ恥ずかしいけれど、脇腹から背中をねっとりと舐められて声をあげない人なんていないんじゃないかと思うから、これは普通だ。だから気にしない。

「かずみ?声、我慢するな、もっとはっきり鳴けよ。」

「………………っ…。」

でもそんなことを言われるとムカつくからダメ。もう声なんであげるもんかと思うけど、それはきっと無理だとはわかっている。それでも努力をせずにはいられない。

「だけど…そう言われると声押し殺すんだろ、
させねーよ、今日はもう絶叫コース。」

彰人さんは更にヤなことを言ってから、私の胸を掴み寄せて真ん中の突起に甘く歯を立てる。

「あっ、ヤダぁあっ、いたぁぃいっ、ああっ、あっ、っはぁっ、」

「素直に…鳴かないから…こうなるんだよ?
でもカワイーなぁ、かずみ。」

「あっ、痛いのはヤダ、痛いの無理ぃっ、あ、あっ彰人さん、ぁあっ、」

彰人さんの私に触れる手も舌もいつもよりも少し乱暴で荒々しい。それはきっとこんな場所だからだ。もうこんなところに連れ込まれないようにこれからは細心の注意を払おうと思いながら、電撃のように走る痛みとも快感とも言えない感覚と戦い、押さえようと思った声のことはもう諦めた。どのみちイかされるなら無言でなんていられない。そして身体はもう求めている。彰人さんはなんだかんだと言ってもいつも上手にこうやって私に快感を与える。これをケイちゃんと比べることだけはしたくないけど難しい。そして彰人さんは比べることをわかっている。だから何かを植え付けるように快感に導く。明らかにケイちゃんよりはオトナだ。

「はぁっ、…っあっ、ああっはぁっ、はぁっ、」

身体が熱い。どうしようもない快感を得てしまう個所を刺激されると、操られても何でもいいから楽にして欲しいと願ってしまう。到達したいトコロ、ゴール…それがもうわかってしまった以上、求めないわけにはいかない。確実に心の中ではゴールを求める。それを彰人さんに知られたくないと思いながら熱く切なく耐えるように待つ。

おへそを中心にした三角形を描く突起を全て押さえられたらもう私の終わりは近い。彰人さんは両手で胸の突起、蠢く舌で下の突起を責める。そうなると耐えろと言う方が無理だ。悔しいけれど彰人さんが言っていたように「もっと」とか「イイ」といつか言ってしまいそうだ。

「あっ、うぅうっ、あっ、あ、あっ、あっもう……、」

向こう側へ落ちる瞬間、今まさにイク直前、寸前で彰人さんは突然動きを止める。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、」

心臓だけがバクバクと自分の耳の奥にまで届くような爆音をあげている。息は走った後のように荒い。でもまだ向こう側へは落ちていない。落ちれなかった。あと少しなのに。これはなんとも言えずに辛いといえば辛い。そんな気持ちを言葉にして彰人さんに「ちゃんとイかせて」とだけは言いたくない。でもおそらくそれが狙いだと思った。

弾む息で空中をボーっと見ていると、彰人さんが意地の悪そうな言い方で

「かずみイきたいだろ?この中途半端はヤだよなぁ。」と思った通りのことを言った。

それはイきたいと思う感情はもちろんあるけれど、でもこれくらいの辛さなら別にどうってことはない。なりふり構わずお願いしたいだなんてこれっぽっちも思わない。お願いする屈辱はイけないことに余裕で勝つ。こんな勝負なら勝てる。イケなくたって私にはたまるもんがないんだからきっと男よりは有利だ。

「はぁっ、はぁっ、別にっ、ヤだけど、お願いとか絶対しないからねっ、」

「あははは、そっか、お願いしないんだ。まぁお願いされてもイかせないよ。自分でイクんだからね。かずみの番だって言っただろ?」

ムカつく。でもそう来るんだ、となんとなく方向性がわかった。しかし何という嫌なことを言うんだろう。こんなに嫌なことを言う人を見たことがない。信じられないくらいヤな人。でも何があっても自分でなんて、自分の手でなんてイクものか。そんな恥ずかしいことをした事実をこれから背負って生きるなんてきっと耐えられない。彰人さんは男だし変態だからいいのかもしれないけれど、女の子は普通そんなことはしないんだ。ここで私がそんなことをしたら彰人さんの上を行く変態になってしまう。

「そんなことは絶対しない。私はもうイかなくてぜんぜんいいから、彰人さんがイきたかったらさっさと入れてイけばいいじゃん。」

でもそう言った私を押さえつけて、彰人さんはまた私がヤバくなる体制を整えようとする。またイかせないのにその寸前までもっていくつもりだ。なんと意地が悪いのだろう。我慢はできるけれどそれは全く辛くないわけじゃない。腹が立つ。こんなにイラつく性行為があっていいのか、ありえない。

「っいヤダっ、ヤダってばぁっ、やだやだっやだぁっっ、ああっ、やぁあああっ…やっヤメっ…はぁっ…ヤダぁっ、」

だけどマズイ。ちょっと舌で刺激されただけでさっきの続きからみたいに絶頂が近い。快感に気を取られて暴れ続けられない。正直に言ったらこのままイキたい。

「あっ…ああっ…はぁああっ、はぁっ、あ、ああ、あっ……、」

まただ。イッてないのに心臓だけが爆音のまま、また寸前で止められた。すごいヤダ、何コレ、ものすごい嫌な気分。苦しくてイライラする。一瞬殺意を覚えるくらい彰人さんが憎たらしい。

「はぁっ、はぁっ、何なの!スゴイヤダ!だからイかなくてもいいけど、もう触んないでよ!」

「苦しい?切ない?でも何度だって繰り返すよ?100回でも200回でも。かずみが耐えられなくなって自分で自分のココに手を伸ばすまでね。」

なんじゃそりゃ、バカみたい、最低だ。絶対にそんなことをするもんか。死んでもしない、絶対しない、100回繰り返されたって自分で得る快感なんかいるもんか。

「最低っ!大っ嫌い!絶対そんなことしないっ、離してっ、離せぇっ、やぁああああっ、ヤダあああぁ、はぁあっ、ああぅ、はぁっ…、」


――――――――――――――


「はぁっ、はぁっ、もうっ、本気で…ヤなんだってば!
絶対自分でなんてっ…しないから、も、ヤメてよっ!」

寸前で止められる最悪の事態を何度か繰り返されて、私のイライラはもう限界値を超えそうだった。疲れる。ものすごく疲れてイってないのに身体がだるい。それでも彰人さんは折れない。

「かずみが自分でイかなきゃ絶対終わらないよ?オレがここまで敏感にしてやったんだから自分で触ってもすぐだろ、早く触れよ。」

「ヤダっ、そんなことしない!もう触んないで、大っ嫌い!」

なんで私がそんなことをしなくちゃイケナイんだ。性行為はいいよ、仕方ない。恋愛にはつきものなんでしょうよ。オトナになるために必要なんでしょうよ。どう考えても仕方ない。これでも私は彰人さんが好きなんだし。それに無理矢理ヤラレタって別に私自身の心の何かが折れるわけじゃない。身体が汚れたって心は無事だ。だけどそんな頭がおかしくなるほど恥ずかしい行為は絶対ダメ。自分が許せなくなるだろうし、そんなカッコ悪いところを好きな人…今は大っ嫌いだけど、とにかく人に見られるなんて考えただけで恥ずかしくて死にそうだ。これだけは絶対しない。プライドにかけてするもんか。殺されてもしない。ド変態の仲間入りはごめんだ。

「じゃぁ、触りたくなる魔法をかけてあげよう。気持ちいいのに屈しないならこっち。かずみの嫌いな痛い方に行くしかないよね。」

「えっ!!あっ、痛ぁいっ、ヤダ、それヤダ。やぁああっヤダぁっ」

彰人さんは下の突起部分から離れて私に覆いかぶさるようにして固定すると、両方の胸の突起を容赦なく掴む。またあの何かの拷問みたいなシーンがチラつくほどの痛みが襲いかかってきた。身体の他の部分なら我慢できるのかもしれない痛みでもそこはダメだ。長時間は無理だ。時間が過ぎれば過ぎるほど辛くなるだろうと思いながらも、悲鳴をあげながら耐えていると、彰人さんはまた恐ろしいことを言う。

「かずみ、痛かったら自分で触ってみな、大丈夫、恥ずかしくないよ、オレのだって見ただろ?そこに手を置いたら少し緩めてあげるよ?」

「痛ぁいっ、痛いぃっ、はぁっはぁあっ、痛いぃいいっ、やめてぇっ」

そんな悪魔のささやきに私は思う。痛いと痛みを取ってもらう事しか考えられなくなる。緩めてもらえるなら手を置きたい…と。このままじゃ負ける。でもこれだけは負けたら私はもうマトモに生きていけない。ここは彰人さんと戦うしかない、無駄な抵抗だとしても、これだけはそう簡単に諦めるわけにはいかないんだ。

私は胸に痛みを与える彰人さんの手をどけようと必死で抵抗した。でも彰人さんは指先に更に圧力を与えるから悲鳴をあげずにはいられない。涙もあふれてきた。それでも負けずに彰人さんの腕を掴む。あふれる涙と痛みと悔しさで言葉は悲鳴以外に声はでない。この状況で指先の力を緩めない彰人さんが鬼に見えた。

しばらくそうやって戦った。私がここまで折れないのは初めてだと思う。でも諦めるわけにはいかない。どうしてもどうしても自分でなんてするわけにはいかないんだ。

私の様子がいつもより鬼気迫っていることを察知してか、彰人さんがついに手を離した。勝った?いつも私が諦めるように諦めてくれればいいと願いつつ、どこまででも戦う気があるように彰人さんを睨みつけた。彰人さんも私をじっと見ているけど、キレイな顔は余裕の表情に見える。不気味だ。そして彰人さんは何も言わずにそこら辺に投げ出されていた自分の上着を拾い上げた。一瞬、怒って帰るのかとも考えたけど違う、ポケットから何かを取り出しているようだ。そして彰人さんがとりだしたものを見て私の心臓は勝手に暴れ出してしまった。

もうダメだ。やっぱりダメだ。ヒモ。白いヒモ。「それだけは絶対イヤダ。」そう言いたかったのに、心臓がびっくりしすぎて言えない。涙、悲鳴、心臓の爆音、嫌なコト、痛み、快感、恋心、そんな私のLOVEに関するキーワードに新たに加わりそうな恐ろしい単語、「ヒモ」。悔しくても腹立たしくても怖くて身体が震えた。

それからはとても愛し合っている恋人同士とは思えないほどの戦いだった。私も簡単には諦めなかったけれど、男の人の力に敵うはずがない。無言の力技でのぶつかり合いの最中、明日は絶対筋肉痛だと思った。彰人さんが時々口にする「ヒモで縛る」という言葉がいつも怖かった。でも心のどこかで脅しているだけで本当に縛ったりはしないんじゃないかとも思っていた。思いたかった。つくづく私はバカで、こんな状況になってからそれなりに傷つく。

彰人さんは容赦なくヒモを使う。尋常じゃない目をして、まるで物を掴むかのように私の足首を掴みあげる。私の心の何かが死んでいく。自分に捧げる静かなレクイエムができそうだ。ぐちゃぐちゃの中の静か。激しさの中の諦め。今という時間の流れが止まらない絵が、川の流れのように見えた気がした。

白いヒモは私の左足首と左手首を一緒にギッチリと固定するために使われた。手首に彰人さんのつけた外れない足の鎖の留め金部分が刺さって痛い。左足をずっと上げていなくてはいけないのも、左手を一切使えないのも精神的に来る。こんなに恐ろしいものだと思わなかった。少しでいいから、私の言う事を聞いて欲しいと声に出して言いたかった。でも言葉に詰まって言えない。だってもう泣いてしまっている。

「泣くほど怖いの?でも泣いてもやめないよ?大丈夫だからちゃんと言う事聞こうね、かずみ。」

知ってるよ、泣いても無駄なのは知ってても泣けるんだから仕方ない。だってこんなのありえない。好きな人は少し強引だからって「いやぁん」なんて言いながらいちゃいちゃするのにちょっと憧れた。自分にできるかできないかは別としても、憧れるくらいは許される。でも私の好きになった人はそんなレベルじゃなかった。もうヤダ、ヒモコワイ、ヒモコワスギル。だってヒモはこんなにも自由を奪うじゃないか。ものすごく優しい人がヒモ使うならいいけど、彰人さんは優しくないし変態じゃないか。そもそも優しい人はヒモを使わないよ、もう、泣くくらいしかできることがない。

「あっ、あきっとさんんっもうっ…真面目にっ…ヤダぁっううっ、」

彰人さんは私の右手をそっと握りキスをしてから、

「この手がいい子になるおまじない。」と、悪魔全開バリバリの言葉を優しく呟いてから動けない私の胸をグッと持ち上げて、さっきと同じように、いやそれ以上に痛いとしか言いようのないくらいに捻りあげた。

「い゛やぁあ゛あ゛あ゛あ゛あっ、痛あいいいいいっ、」

思いきり悲鳴をあげる私に、

「早く、ソコに手を置いて。置いたらこっちは離してあげるから、早く。」

とかわいそうな子を慰めるように言った。

悔しさを抱えつつ、苦しみからの脱出のため、私はゆっくりと彰人さんの言うソコに手を置いた。胸の突起を掴む指が緩んでからゆっくり離れた。

「そう、それからこうやって、ココ、ココを触るんだよ、ほら触って。」

彰人さんは私の手を下の突起へと指があたるように誘導する。そしてほぼ一緒に触るように私の手を動かす。もうなんという屈辱だろうかと腸がねじくれそうになった。腹立たしさから私は自分の手に力を入れない。そうすれば自分の手でも自分の意思ではないと思ったから。
でもすぐにまた彰人さんは胸の突起をつまみあげ、今度は潰すように捻り始めた。

「あ゛っ痛っ、痛いいっ、ヤダ、ヤメテ、お願っぃいっ、痛いからぁっ、」

「痛かったらもっと自分で触ってるところに集中してちゃんと動かして。気持ちよくなるように。そこが気持ちよくなれば痛いのもちゃんと気持ちよくなるから、ね。…動かさなかったらもっと痛くなるよ?」

「ああっ、はぁあっ、ヤダぁ、痛い゛ぃ、あっあき…とさぁんんっ、」

何言ってんの彰人さん、痛いのは痛いよ、助けて!頭ではそう叫ぶけれど言葉にはならない。私は彰人さんの言葉の意味がわからない。でも苦しすぎるから彰人さんの言葉をそのまま実行するしか助かる道がない。悔しくて涙がまたあふれてくるのがわかる。そして自分の指を動かすと、敏感になっているそこからは確実にこのままイケてしまうと思われる快感が押し寄せた。自分の指なのに。

「ほら、もっとちゃんと、はぁっ、はぁっ、動かせ、指をもっと、ぐちゃぐちゃに動かして、はぁっ、じゃないと痛いのは終わらないよ、」

私のそんな姿を見ている彰人さんは息を荒くして痛みを与えている指先に更に力を入れる。私は大きな声で悲鳴をあげる。

「い゛やだぁあ゛あ゛っ、痛あいいいいいっ、あああっ、うあぁああん、もうヤダ、苦しいぃぃぃ。」

「そう、はぁっ、もっと、もっとだよ、かずみ、はあっ、ああ、可愛いっ、可愛いよ、どうしよう、ほら、オッパイかわいそうだよ、こんなにされてるよ、動かして、指を、もっともっともっと、イケるように、」

完全に狂ってる、彰人さんがもう狂ってるよ、神様、助けて、怖すぎる、でももう私は自分の手を止められない。私も狂ってる。きっとこのままイってしまう。

「痛いぃい、ああああぅっ、あああっはぁあああっ、ヤダぁっ、」

「ほら気持ちよくなってきただろ?こんなに…苛められてるのに…はぁ、はぁ、痛くてもイケるよ、集中してごらん、大丈夫、ほら、」

「ヤメテぇっ、助けてっ苦しい、ああっ、いっ痛いっ、あっ、ああっ」

「はぁっ、ほら、イケっ、はぁっ、自分でイクんだ、ほら、もっと動かせっ、イっちゃえよ、イケ、そう、上手だ、そのままっ、はぁっ、イクんだ!」

もうダメ、痛みはそう、彰人さんの言うとおりに痛いけれど下の突起を触っていれば耐えられるものに変換されつつある。涙も心臓も呼吸も尋常じゃなく、頭が真っ白に近づいていく。もう、無理。イク。

「やだぁああっ、あああっ、…あっ、…あはぁっあああああっ
……うわぁあああああん」


私がイッてしまうと、彰人さんはすぐに胸の突起から手を離してくれた。そしてヒモを解いてから強く抱きしめられた。私の身体は壊れてしまうのではないかと思うほど、疲れていて胸はヒリヒリと痛むし、心はもうズタズタといったカンジだ。なんだろう、罪悪感。自分自身に対して後悔する気持ち。虚しさと恥ずかしさ。全てが暗く、マイナス要因しかないような感情に支配される。死んでしまおうかと思った。そして涙が止まらなくて、かなり大胆に泣いてしまっていることに気づく。

「ああ、かずみ、ちゃんとイったね、可愛い、可愛すぎるよ、スゴイよ、泣きながらイっちゃうなんて、もうオレどうしよう、」

彰人さんが完全に変だ、どうしようじゃねーよ、知らねーよ、と心底腹立たしい気分になる。もう最低だ。どうしてこんなことをさせてこんなに喜ぶ。どこまで変態?永遠に変態?変態無限大?終わりはないのか、変態に!

「もぉっヤダっ、イヤすぎるっ、嫌い、ひっく、
大嫌いっ、や…だっ…うぅうわぁああああん、ヤなの、こんなのは!」

「かずみっ可愛いよ、たまらなく可愛い…恥ずかしい?悔しい?そうだよね、自分の手でイっちゃうなんて…オレの目の前で。」

「何なの!もぉ、っひっく、あっ彰人さん、変態!大っ嫌い!」

そして彰人さんは、手早くゴムを装着しやがった。私が泣いているのにそんなゴム装着とかもうありえない。彰人さんに涙は本当に無意味だ。無意味でも泣ける、悔しすぎる。苦しい。

「次は入れたままイカせてあげるからね、もうこっちは痛くないだろ?
ココ、一緒に触るともっと気持ちよくなるから。今度はオレが触ってあげる。」

「もぉヤダ、も…ひっく、ヤダ…彰人さん、ヤダっ、あぁっ…」

今日はもう泣けるからこれ以上暴れない。大人しくしていればそれだけ早く終わる。それなりに冷めた気分の私に構わず彰人さんはゆっくりとアレを入れてスローモーションのように動かしながら、まだイッたばかりで触って欲しくない個所にも手を伸ばす。

「ああ、かずみ、かずみぃっ、ヤバイ、気持ちよすぎるよ。」

助けて欲しいと思った。もうぜんぜんイきたくない。身体が疲れすぎていて、心底イきたくないと思った。それなのに、彰人さんは構わずに動かし触る。泣きながら何かを言おうとしても私の口からはもう「大っ嫌い」という言葉くらいしか出てこなかった。

「嫌いなんだ、かずみっ…嫌いな男と…ヤってんの?」

そう言った彰人さんは入れていたモノを抜き、私をクルリと回転させてうつ伏せにした。なんにも身構えていなかった私は驚くほど簡単にうつ伏せにさせられてしまい、そうなってからジワジワと恐怖が襲ってきた。そして襲ってくる恐怖の意味を考える間もなく、お腹を下から持ち上げられてそのままアレを突き刺された。

「っ…あぅうっ、あ、ヤダ、ちょっと、待って、ヤダ。」

こんな恥ずかしいスタイルでの性行為は嫌です。これはオトナになってからでいいです。なぜだかそんな言葉が頭の中でアナウンスされているように響く。それに、奥までずっしりと突かれると痛い。後ろから串刺しにされそうな一歩手前みたいな気分だ。でも彰人さんはゆっくりと何度か奥まで突きあげるような動きをする。鈍い痛みが走る。この体勢から逃げ出そうと両手で起き上がる様に四つん這いになろうとすると、彰人さんはいきなり私の背中をグっと押しつぶして、ゆっくりとした動きから急に激しく突きあげ始めた。

「ああっ、ヤダァアアア、痛ぁいいっ、あぅうっ、あぅっ、
あっ、彰人さぁんんっ、奥までしないでっお願いぃっ、
痛いからっ、無理っ、」

「我慢してっ…またココにっ…意識もってきなっ、はぁっ、はぁっ、ホラ、ココ触ればっ…イケるだろ…入れたままイケ、はぁっ…はぁっ…っ」

「あはぁっ、わあぁあああっ、あああっ、あっ…あ、無理っ、
無理っ、そんな…っ、無理、ヤダぁっ」

どんな地獄かと思うけど、痛みの変換技術を先程覚えた私は、少しでも助かろうと彰人さんの指の動きに集中する。また彰人さんの言う事が正しいこともわかってしまいそうだ。集中、痛いか気持ちいいかを決めるのはもしかしたら集中力?努力しないと快感は得られないという事か。

「ああっ、あっ、はぁっ、あっ、はぁっ、」

前の突起に指を滑らせながら彰人さんはしばらく私を突きあげる。私はまただんだんと真っ白に近づいて、イク瞬間のために集中する。だってイかなきゃ終わらない。

「イケっ…オレのを入れたままっ…イクんだっ、
はぁっ、あああっかずみぃっ、」

そして私たちはまるでドーブツのように乱れ、汗だくになって絡み合い、私がイってしまうのを待ってから、すぐに彰人さんも果てた。


――――――――――――――


「も、すっごいっ、汚れてるっ。ドーブツみたいでヤダ。
キレイじゃないっ!最っ悪。彰人さんなんかっ、大っ嫌い。」

どれをとっても文句がある。自分でもどうしていいのかわからなくて泣きやめない。何がショックなのかももうよくわからないけれど、何時間か前の自分とは違う世界に無理矢理引っ張られて来て、夢とか希望とかふわふわしたものが全部削ぎ落された気分だ。

このままやさぐれて可愛くない女になってやる。もともとそんなに可愛い性格でもないけれど、それなりに想い描く希望だってあったんだ。それよりも鬼のようにグレてやろうか。でもグレた原因が自分の指でイかされたからっていう事実は誰にも言わなくても私の心の負担であるし、それが現実だったら末代までの恥として通用するくらいのハナシだと思ったからやめた。

じゃぁ、もうどうしよう、何もかも面白くない。面白く無さ過ぎて涙が止まらないまま、彰人さんを睨みつけた。

「そんな泣くなよ、カワイーから。目、腫れるよ?」

「だってっ、ひっく、も、酷過ぎるっ、うわぁあああん、」

彰人さんは優しく私を抱き寄せて包むように抱きしめた。

「わかった、ごめんって。ケーキ買ってあげるからさ、ね?」

ケーキ!ふざけんな、私の精神をこれだけ蝕んでおいてケーキぃ?あまりのふざけた彰人さんの言葉に反論する気も起きない。彰人さんはもう根本が腐ってる。私も腐り気味だとは自分で思うけれど、腐ってる他人と言うのは例え好きな人でも腹が立つ。だから無言で冷たい目を向けてやった。

彰人さんはそんな私をまじまじと見つめ、また色気の漂う妖艶な表情をしてから信じられないことを言う。

「はぁ…かずみぃ…ケーキたくさん買ってあげるから、
部屋に戻ったらもう一回ヤらして?」

ブチっと頭の中の何かがキレたような感じがした。私は抱き寄せられて目の前にある彰人さんの腕に思いきり噛みついた。どうせ何を言ってもどんな言葉も彰人さんには届かない。

「痛っ、ははっ噛みつくのかよ、だからソレもツボなんだって…ってイタタタ、イタイ、イタイ、わかった、わかった、今日はもうしないから。明日ね。あ、そろそろ爪も切らないと。明日切ってあげるよ。」

いつこの人を嫌いになれるんだろう。そんな日が来たら私はものすごく幸せかもしれない。一刻も早く嫌いになれますようにと、心の中で思いつつ、嫌いになれなかったらぶっ殺してやるしかないかもしれないと思った。


――――――――――――――


ホテルからの帰り道、手をつなぎたくないと私が言い張ると、彰人さんは私の肩をグッと抱き寄せて歩く。これでは手をつながないよりもイライラが増す。私は何もかも面白くなくて不機嫌だった。どうしても自分の手で自分を気持ちよくする行為をしたと思うと犯罪を犯してしまった気分になる。悪魔は私を犯罪者にした。私は悪魔に犯罪者にさせられた。その悪魔は今も私にぴったりくっついて離れない。

「かずみ、そこのケーキ屋のケーキ美味しいよ?いらない?」

そしていろんな誘惑を私に投げかけて、どんどん私をオカシクしていくんだ。

「ケーキいらないの?」

「いるっ!」

結局、彰人さんにチョコレートケーキを買ってもらった私はもう救いようのないバカだと思うけれど、どうしても「美味しいケーキ屋さんのケーキ」をいらないとは言いたくなかったから仕方ない。それからケーキの箱を受け取ってしまうと、早く食べたいと思う感情に支配されてしまう私はやっぱり悩み事には向いていないし、多少…けっこう腐っているとも思った。

「部屋に着いたら紅茶を入れてあげるからね、ハイ、手もつなごう。」

あれだけのことをされて今、また手をつなげる自分がスゴイと思う。しかも紅茶で。

ああ、もしかしたらもう私の頭は充分に狂ってしまったのかもしれない。私も狂ってしまったなら彰人さんを嫌いになる必要もぶっ殺す必要もない。でもケーキを食べたら、今日は腹の虫が収まらないから、彰人さんを蹴り飛ばして逃げ去ろうかとは思った。

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| 【恋愛】B面トライアングル | 02:18 | comments:2 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT

思った通りの面白さです。

僕は変態小説を書く際、いつも心掛けているのが、いかに読者が「うわぁ…」と気持ち悪がりながらも性的コーフンするかです。
それをひとつのコンセプトとしております。

で、B面トライアングル。
玉蟲さんの場合だと、いかに楽しく性的コーフンさせるか、なんですよね。

従来の女性官能作家にありがちな「乙女ちゃん的カンノウ小説」じゃないとこがイイです。
従来のペラペラな若手作家のような「無意味な内容」じゃないとこがイイです。
まさに楽しくコーフンさせて頂きました。

泣きながらイったかずみ。
そして「次は入れたままイカせてあげるからね」と囁く彰人。
エロいです。
そして面白いです。

次回を楽しみにしております。

| 愚人 | 2011/08/31 16:56 | URI |

>愚人様

◆コメントありがとうございます◆
カンノウ、ふざけたらイカンと思いつつも、真面目なカンノウシーンの経験乏しい私には、普通の乙女ちゃんカンノウは無理です。女性官能作家さんのようには一生かかっても書けないのでしょう…。
文章もアレですよね、絵と同じです。自分に表現できることは限られている。最近ひしひしとそう感じますw

女子中学生というのは、境目があってついこの間までは本当に子供だったのに、ある日を境に急に大人っぽい表情をするようになるのだと思います。見たくなくても見る世界により上手にすさんでいくんです。上手にすさむ女の子の時折見せるあどけなさが芸術なんだと思います。ああ~でもエロ、エロはホラーより大変ですね、性的コーフンに導く文章は難しいです。

次回、
1人でオトナの階段を登り続けるかずみは慶太との時間をどのように受け止めるのか。混乱のトライアングル、そして変態道まっしぐらの彰人の暴走は止まりません。…これでは青春恋愛モノでなく、変態小説枠でしょうかw
いや、多分、愛があるので…恋愛モノっていうことでよろしくです。

| 玉蟲 | 2011/08/31 16:57 | URI |















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