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B面トライアングル<15>

B面トライアングル<15>【逃げ切れない魔の手2】

こんなところで藤崎に会うのは不思議な気分だった。そしてそんなに真っすぐに見られても、ものすごくやましい気持ちでいっぱいの私はもう最初から負け。何を言われても返す言葉なんてないようにも思えた。「何してんの?」とか言われたら「おまえの兄貴にヤラれてたんだよ、文句あるか。」とでも言えばいいのだろうか。

静かな空気の中を、藤崎のはっきりした声が刃のように進んで来た。

「見てた。全部。」

…見てた全部…見てた全部…見てた全部…私の頭の中では藤崎のその言葉がリピートされているだけで、そのことについの感情はなかなか生まれて来ない。その代わり心臓だけが異様にドクドクと波打つ。

「立河は知ってんの?…知ってるワケないか。
知ってたらつきあえねーよな、普通。」

「……………。」

言える言葉が見事に一つもない。少し遅れて「見てた、全部」という言葉に対して身体中の血液が顔に集まったみたいに熱くなる。好きでもなく好かれてもいない他人にあられもない姿を見られたことに対して、究極な恥ずかしさが押し寄せてくる。

「おまえヤリマン?誰でもいいの?
立河ともヤッタみたいなこと言ってなかった?」

「…………………。」

そしてヤリマン。そう来るとは思ってなかった。思ってなかったけど彼氏以外の人と肉体関係を持つ女はそう呼ばれても当然だとも思う。益々何も返せない。

「そういえば前にも兄貴に呼び出されてたときあったよな。
こういう事だったんだ。兄貴、顔いいもんね。」

「…………………………。」

それはおまえがご丁寧に伝えてくれたおかげでそうなったんだ。よく考えたらアレさえなければこんなことにはなっていない。そして顔がいいのは差し引いたらマイナスなほど変態なんだぞ、わかってるのかと訴えたい。でも言えない。

「でも、立河カワイソー。もしかして立河に言わないでとか言う系?
だったらオレにもやらしてよ。ヤリマンは相手なんて誰でもいいんだろ?」

「………………………………。」

信じられないことに言ってることが彰人さんと同じだ。どうしよう、ダメだ。こんな死ぬほど恥ずかしいところを見られてキレてる場合じゃないけど、死ぬほどムカつく。私だって好きでこんなことになってんじゃないのに。藤崎の「ヤリマン」と「やらして」という言葉がショックすぎて冷静さを保てない。そんな対象に見られたのが我慢できない。ブチ切れ寸前なのがわかる。

「黙ってないでなんとか言えよ。絶叫してたじゃん、さっき。
学校で大人しくしてたってあんだけデカイ声出るんだからしゃべれんだろ!」

あ、もダメ。

「…………………うるせぇ。」

「はぁ?」

「うるせぇって言ったんだよ、バァーか!」

私は完全に開き直ったヤなヤツのようにとことんバカにした口調で言った。藤崎は驚きと蔑みの表情が入り混じった顔で私を見る。そして

「なんだ、おまえ。」と眉間にしわを寄せて言う藤崎を私は上目遣いで見つつ、

「聞こえなかったか?うるせぇ、バカ、って言ったの。テメーにヤラれるくらいだったら舌かんで死んだほうがマシだよ!気持ちわりいこと言ってんじゃねぇ、童貞野郎!」と叫んだ。

ああ、キレてしまった。
しかも、止まらない。

「テメーの相手なんか犬で充分だろ。その辺のメス犬捕まえてケツの穴にでも突っ込んでな。兄弟そろって同じようなこと言ってんじゃねぇよ!ふざけんな!言いたかったら誰にでも言え!もう何がどうなったって構うもんか。バーカ!死ね!それともぶっ殺してやろーか?」

何かが爆発したように暴言があふれ出る。人に「死ね」などと言ってはいけませんよ、と頭の中の善人が米粒のように小さくなって騒いでるけどもう関係ない。ヤリマン呼ばわりされても仕方ない状況だけど、ヤッててたいして気持ちもよくないのにヤリマンと呼ばれることにバカみたいに腹が立った。バカ女が彰人さんに言い寄って好きでヤッってると藤崎に映ってるのがあまりにも腹立たしくて耐えられない。

好きでヤッタんじゃない!と叫びたくても頭に来すぎてその想いは行動となって現れ出てしまった。私は茫然と固まってこちらを見る藤崎を思いきり蹴り飛ばした。そして扉の入り口から廊下に倒れた藤崎を睨みつけて、

「私はね、あんたも彰人さんも大嫌い。」と地獄の底から這い上がるような声で言った。

そして藤崎もこちらを睨み「痛てぇ女。ヤリマンのくせに!」と私に叫んだ。

もうこのままこの家から逃げ去ろうと階段に向かう私の行く手には、一部始終を見ていたと思われる彰人さんが立ちふさがっていた。

彰人さんは黙って私を見つめていて、というより食い入るように見ていて何も言わない。

怖くなった。彰人さんが私に向ける異常な執着のようなものは、大切な事柄が大きく常識から逸脱しているような感覚がある。だから私との関係が藤崎に見られたことによって失われるなら、もしかしたら秘密を共有する方を選ぶかもしれないと思った。ヤッてるところを見られたのは仕方ないから、藤崎ともヤレとか言われたら、何がなんでも暴れてやる。彰人さんが何を言い出すのかわからなくてその目が恐ろしいと思った。

こんなこと終わらせる。彰人さんに全く気持ちがないかと言われたらそれはウソだけど、彰人さんにおもちゃにされてるくらいならケイちゃんに自分ですべてを話して全部失った方がいい。こんな極悪兄弟に関わってたら私の神経はもたない。

「ケイちゃんには自分で言う。
もう彰人さんには会わない!藤崎となんかできるかっ!」

怯えているのを悟られないようにするのに精一杯だった。彰人さんはそんな私に対してずっと真顔だ。そして身構えている私の腕に突然手を伸ばしガシッと掴んだ。

怖い!どうしよう。けど、負けない!

「ヤダ!触るなっ!」

そう言った私の言葉と同時にピシャリと肌を打つ音が響く。

私は決死の覚悟で掴まれていない方の手を思い切り振り下ろして、彰人さんのキレイな顔の頬をめがけて平手打ちをした。掴まれた腕には痛いほど力が入っていて、振りほどけるとは思えない。彰人さんの食い入るような目と無言が鳥肌がたつほど恐ろしくて、死にそうに怖い。

そして彰人さんは何も言わずに私の腕をグイッと引っ張って自分の部屋へと、まるで荷物でも運んでいるかのように乱暴に押し込めようとする。恐ろしくて声も出なかった。所詮男の人の力になんて適うわけはないけど、ここへ閉じ込めて藤崎にヤラせようとしているんだったら、舌を噛んで死んでやる。

結局いとも簡単に部屋に押し込められて、私はさっきまで突っ込まれていたベットの上に乱暴に投げ倒された。それから彰人さんは部屋の扉付近で茫然と見ている藤崎に「どけ。」と一言、言い捨ててバタンと扉を閉めてからステレオをつけた。ものすごくボリュームを上げる。頭が割れそうなくらい大きな音が響き渡る中、ベットの上で恐怖に顔を歪ませている私にゆっくりと近づいてくる。

大きなスピーカーから聞こえてくるのは、吐き気がするほどロマンチックだと叫ぶように歌っている恐ろしい歌詞のガチャガチャした歌だった。

この恐怖感は尋常ではないけれど、泣かない。こんなところで泣いてみたって彰人さんには通用しない。私は真顔の彰人さんから目をそらさずにずっと睨み続けた。

頭の割れそうな音の中、彰人さんは私を異様な目で数秒観察した後、何かのスイッチが入ったように突然襲いかかってきた。戦いのような愛撫。格闘のようにもつれ、ぶつかりあう身体が壊れそうだと思った。そしてやっぱり彰人さんは頭おかしいんじゃないかとも思った。

さっき痛めつけられた胸の突起は敏感になっていて、少し触られただけでも悲鳴ものだった。ただ痛いだけじゃなく悲痛な痛みとも言えた。これ以上触ってほしくないと庇う場所を、彰人さんはワザと暴くように攻める。

でも痛みのその先には何かがあって、ただの傷口を痛めつけている時とは違う感覚が確実にあった。だけど今は絶対受け入れられない。プライドにかけてここで感じるわけにはいかない。絶対に声など出さないと歯を食いしばって口を結ぶと呼吸が上手くできなくて頭はくらくらした。

くらくらしている頭は押さえつけられて唇は大胆に奪われる。もっと綺麗な口づけを願う乙女でいさせて欲しかったのに、何から何まで酷過ぎる。こじ開けられるのはもう嫌だ。全てを飲み込みそうな正気じゃない彰人さんの激しさに恐怖を感じないわけがない。

そして藤崎が扉の向こうにいるのもたまらなく嫌で、本気で抵抗しているけれど彰人さんは絶対にやめないし、怯まない。服なんてあっという間に脱がされる。狂ったように私を抱こうとする彰人さんはいったい何の病気なんだと聞きたい。いつも私が助からないのがわかるから虚しすぎる。

両手首は頭の上でガッチリと抑えられていて、彰人さんの腰を二本の足の間にすっかり入られてるからどう暴れたって、簡単に入る状態に持って行かれてしまった。けっこう頑張って戦ったのに。絶対私のことを好きじゃない。好きならできるかこんなこと!と、こんな瞬間に思う事にしては私を好きじゃないことに怒りを覚える感情だった。そして藤崎を呼ばれたらと考えると怖すぎて心臓がドクドクと恐怖で騒ぐ。

もう片方の手で強く掴まれた太ももに彰人さんの指がくいこんで痛い。足を開いてまたアレを入れるつもりか。でも藤崎を呼ばないで入れられて終わってもらえればその方がいいと、諦めとも安心ともいえない思いもある。とにかく終わるならその方がいいからさっさと入れろバカ野郎、と思うしかなかった。

私がそんな思いでいると、彰人さんは突然固定していた私の両手首を開放した代わりに、私の腰をグイっと持ち上げて足を思い切り開かせた。予想外の彰人さんの動きに驚いてしまったけれど、驚きよりも頭の中はもっと大変な思いに支配される。

この部屋はあまり暗くない。夕方といってもまだ充分明るい時間だ。こんなところでこんな格好をさせられたら全部見えてしまう。実は私は自分でソコをよく見たことがない。というより彰人さんが見ている角度から見たことがない。そのことに気づいて頭がパニックになる。ああ、こんなことなら自分でも鏡で見てチェックしておくんだった。何をチェックするのかはわからないけど、そこがどんな様子なのかよくわからないのに、なんで他人に先に見られなきゃいけないんだ。なんで、彰人さんに至近距離でじっくり見られなきゃいけないんだ。

100歩、いや1000歩くらい譲って、ソコをどうしても誰かに観察されなければならないとしたら、絶対何を思われても関係ない、その辺のオヤジか、はたまたぜんぜん好きでもなんでもない藤崎の方がマシかもしれない。恋愛感情が少しでもある人にそんな排泄物の出口付近をしっかり見られるなんていう屈辱に耐えたくない。好きな人はヤダ!好きなのかも知れない人もヤダ!カッコイイ人もヤダ!だから彰人さんはヤダ!

「ヤダ!ヤダ!ヤダってば!ヤメテ、彰人さん、やめてぇぇぇ!!!!!!」

ヤメテと言ったところで、彰人さんは絶対やめてくれないのを知ってるけど、さすがに叫ばずにはいられない。でも彰人さんは動じるわけもなく、あたりまえのように私のソコに顔を近づけてまるで好物をいただくように舐め始めた。

「イヤャァァ!ヤメテェェェェェ!!!」

叫んだところで私の声は全てガチャガチャの音にかき消される。恥ずかしくて死にたい。さすがに泣いてもいいかなとも思った。

今まで、普通かどうかはわからないけどこういう特殊な行程なしにやってきたセックスというもの。とはいっても回数的に言えば2回だけれど、別に耐えられないほどの辱めを受けているわけでもないし、彰人さんに見とれてしまうのはどうしようもないことだったので、多少強引でムリヤリとは言えど泣いて暴れるほどのものでもなかった。

だけど、コレは無理でヤダ!私は自由になった手で必死に抵抗するけど、全然ダメだ。力が入らない。なんで彰人さんは平気でそんなとこ舐められるの。そんなとこ舐めて病気にならないのか。そんなとこを舐める人が病気だ!足もヤだけど足よりも数倍ヤダ!ヤダ!助けて!誰か!

「ヤダァァァ!ヤダ、ヤメテ、ヤダ、お願いヤメテェェェ、ヤダァ…あ…っ」

彰人さんはジタバタする私なんてお構いなしに舌を這わせ続ける。挿入部分のあたりから少し上の突起をめがけて、じっくりとせまってくる。私は自分の身体の異変に気づく。何か明らかに感覚の違う箇所がある。ソコにあたるとおへその奥がしびれるみないな感じになってビクっとなってしまう。

私がビクっとするたびに、ソコを集中的に彰人さんが攻める。音でかき消されるとはいえ、聞き耳を立てているかもしれない藤崎に聞かれてしまうから絶対に出したくない声が出るのが死ぬほど悔しかったし、「ヤダ!」と「ヤメテ!」しか叫べない芸のない自分にも苛立った。

「あぁっ、ヤダあああっあああっ、ヤダ、ヤダ、ヤダ
ヤメ、ヤメテ…ェ、あっ、ヤダ、ダメっ…ヤメっ……」

悲鳴とも言える私の声とガチャガチャの音は違和感なく共鳴し合っているように、まるで一つの作品のようにいいバランスなのが不気味だった。

快感と不快は背中合わせで入り乱れ、精神と肉体はあくまでも別のものであることを知らされる。確実に身体は勝手に別の所へ行ってしまおうとしている。どんなに頭でイヤだと思っても。ガクガクと震え、ビクビクと痙攣するように自分の身体を彰人さんに好きなようにされているのが悲しすぎて、ここに「愛」が存在するならもう受け入れた方が楽なのではないかとまで思えた。

抵抗したり体を捻ったりする私を完全に固定するため、彰人さんは私の両手首を掴みながら、開いた膝の上に体重を掛け、絶対ありえない恥ずかしい格好にして、私がビクビクをやめられない箇所を容赦なく強く攻め続ける。その感触に痛みなど一切ないのに泣けるのはどうしてだろうと頭の片隅で思いながら、伝わる止められない快感に支配された。

「あああっはぁっ、あっあああっお、おねがいぃいいもヤメて、
ヤダ、ヤダァ…ああああっあ…あ……あ…あ…きと…さん、や、め、」

どこかに上り詰めるような感覚と、固定されているから激しく動いているわけでもないのにすごい動悸。ちゃんと息が出来なくて苦しい。止まらない彰人さんの舌の動きに私はもうどうすることもできない。足には異様な力が入り、下腹の腹筋が硬直する。彰人さんは掴んでいる私の手首を解いて両手でソコをむき出しにすると更に激しく舌を押し付けてきた。

「あっ…あぅう、はぁっ、あっあき…とさん、彰人さんダメぇぇぇ!」

私はもう自由になった両手を抵抗のためになど使えるはずもなく、ただただギュッと握りこぶしを作って力を入れることしかできなかった。

「ダ…メ…うぁ…あ…ああああぁぁぁ。」

そして、壁を越えて向こう側に行ってしまうような大きな波にさらわれて、上り詰めてしまった。泣きながら向こう側へ落ちた。落とされた。そんな感覚だった。

上り詰めた後は、這う舌に更にビクビクしてしまい、膝がガクガクする。お願いだからもうそこに触れないでほしいと願った。そしてぐったりする私のその部分からやっと離れてくれたかと思うと、彰人さんはニヤリと悪魔な微笑みで涙が頬を伝う私を上から覗き込む。ものすごい敗北感だった。私が侍なら切腹してる。侍じゃなくても今なら切腹できると思った。恥ずかしさと屈辱的な気分をどうにかしたいのに、変な余韻のせいで身体がだるい。動く気がしない。

ぐったりして横たわる私の耳元で彰人さんは「イッたね。」と言った。これが「イク」という事だと私は知らなかった。自分にこんな感覚を得る部分があることも知らなかった。彰人さんは勝手に私の身体を暴いてそして勝手にイカせたんだ。私が自分自身でよくわからないのに彰人さんには何が起きるかわかっているのがありえないくらいヤダ。なんの説明もなしにこんな勝手な話があるか。それにさすがにこればかりは「イッテません。」とも言えないし「だからなんだ!」とも言えない。悔しくて涙があふれた。今まで「イク」のは彰人さんの仕事で、私は私の身体を提供するだけの感覚だったからどこかで上から見ることのできる部分が深層心理の中にあったのだろう。それが崩れた今、この敗北感が重すぎて怒りにも転じない。

そしてそんな私の横で彰人さんはゴムの準備をし、うるさい音の中もう一度私の耳元で「まだ終わりじゃないよ、かずみ。」と言ってから、私の中にゆっくりと入ってきた。

「はぅぅっう…ん…。」

その時、痛みはもちろんあるけれど、それとは違う別の感覚もあって少しびっくりした。そして私は思わず彰人さんにしがみついてしまった。泣かされた挙句しがみつくなんて自分が許せないとも思ったけど、もうそうすることしかできなかった。

そして痛みとも快感とも言えない感触を味わいながら、今までよりも確実にスムーズに入ってしまったことについて考える。この感覚には多分私の体液の量が関係している。痛みの軽減はこの体液だ。痛いのがイヤなら体液を出せってハナシか。でんでんむしが「ツノ出せ」「ヤり出せ」と言われている歌を思い出して少しバカらしくなったけど、人間も「液出せ」と言われているようなもんなんだ。そしてこうやって身体を重ねてしまうと恐ろしさも情愛もごちゃまになって、そのうち何がなんだかわからなくなっていってしまうのかもしれない。肌が触れ合うことに違和感を感じなくなったらそれは愛情と呼べるのだろうか。

考えごとをしながらも彰人さんの動きに呼吸を合わせつつ、自分がイッてしまったのが負い目のように感じられ、腹立たしくなっているのも勝手なようにも思えた。どうぞ気持ちよくイッて下さいとまではいかなくてもちゃんとイッて下さいと、どこかで思っている自分もいる。それでも腹立たしくなくはない。意味もなく複雑な気持ちになった。

彰人さんにこうして自分からしがみついてしまったことも、そのままずっとその手を離さないことも、もう許されはしない領域に居てしまうことを意味するのだろう。こうやってどこへ落ちていくのだろうと思いながら、激しさを増す彰人さんの相変わらずな魔的な色っぽさに、飲み込まれてしまっていた。

そして全てが終わった後、すっかり疲れてぐったりしている私の身体を彰人さんは優しく撫でながら言った。

「陽一になんて、ヤラせるわけないだろ。陽一にはつきあってるって言っとく。慶太と早く別れろ。」

なんで普通にはじめからそう言わないのかと怒りたいけれどもうそんな気力もない。かわりに腹立たしくて視界が涙で滲んでくる。藤崎に差し出されたらどうしようと、ものすごい不安とストレスを抱えながらこうやってヤラれるこっちの身にもなってみろと思わずにはいられない。安らぎのない彰人さんとの時間が疲れる。心も身体も疲れ果てる。恋愛はこんなに厳しいものだなんてどんな本にも映画にも教えてもらってない。

そんなイライラを募らせる私を彰人さんはまるで猫でも撫でるようにスルスルと触りながら、

「かずみは獣みたいで可愛いなぁ。いつか猛獣になるね。」と言った。

急いで服を着る気にもなれない。明日のことも考えたくない。不本意でもこのままここに閉じ込められた方がいいとまで思えた。今この時間以降の全ての時間が怖いと思ったから、私を撫でる彰人さんの手がすごく気持ちよくてやめないでいてほしいと思った。

とりあえずは帰りに首に巻く包帯を買い、明日は藤崎と学校で顔を会わせなければならない。そしてケイちゃんにはもうバレる。せめて自分の口で言おうと思った。私の唯一の安らぐ時間はなくなるから、もう少しだけ彰人さんに撫でられていようと思う。彰人さんを選んでも私は疲れるだけだということをわかっているから、こんな余韻の時だけでもこうしていたかった。

「かずみ…。」

私の身体を撫でる彰人さんの手は首筋、耳元、アゴのラインから降りてきて、指先が私の唇に触れたところで止まった。もうどこを触られてもいい。いちいち何かを思う方が疲れるから好きにすればいいと、無気力な目で彰人さんを見る。彰人さんは、そんな私を見下ろして愛しそうに微笑み、自分の指を私の唇に押し付けたかと思うと、

「噛みついてごらん。」と言った。

こんなに静かでまどろむような余韻の中にさえ、一瞬たりとも居させてもらえないのかと、諦めつつもやっぱり腹が立った。その思いは差し出された彰人さんの長くて綺麗な指に向けられ、ご要望通り、アムリと咥えてガブリを噛みついてやった。

「痛っ。あははは、容赦ないな、ステキだ。」

先が思いやられるとはきっとこういう気持ちだろうなと思いながら、噛みついた指の骨のゴリっという感触が嫌いじゃないことを発見した。

彰人さんは私に指を噛まれたまま言った。

「もう吉貴とか…みんなに言いたい、かずみオレのって。」

「え、待って。ケイちゃんと話をしてからじゃないとヤダ。
ちゃんと明日自分でケイちゃんに言うから。」

しゃべることで咥えていた指はホロリと落ちる。まるで犬が咥えていたご馳走のように。

「慶太に何て言うの?」

…さて、何て言うんだろう。彰人さんにヤラレタからケイちゃんとはつきあえませんって言うんだろうか。そうじゃない。そうだったのかもしれないけど、彰人さんが好きだからケイちゃんとはつきあえませんと言うのか。結局、彰人さんが最初から好きだったということか?いやでもケイちゃんをすごく好きなのは今でも変わらない。アレ?何て言えば正解?

「彰人にイカされちゃってもう彰人なしじゃいられない身体になった。って言いなよ。」

そんな下品なことを誰が言うかと思うし、イカされたという表現がムカつく。
思わず、

「イカされたんじゃない、好きでイッたんだ。」と言ってしまった。
彰人さんは意地が悪そうに私を見て、

「ふふ、じゃぁ、「ダメ」とか「ヤメて」じゃなくて、「イイ」とか「もっと」って言えよ。」とニヤけている。

完全な買い言葉だけれど、「今度はそう言うよっ。」と答えた直後に、自分でも何を言ってるんだろうと思った。が、遅かった。

「かずみ…今度は言うんだ。今度もイクんだ。イっちゃう予定なんだ。」

自分で言ったこととはいえ、頭の悪すぎる発言に落ち込みそうだった。少し冷静になろう。それによく考えたら、ケイちゃんに言われないために彰人さんの言う事きいてたんだ。藤崎にバレたからもうどうしようもないけど、だったら彰人さんにはもう会わないと言うこともできるんだ。

「………よく考えたら、ケイちゃんにバラすんだったらもう彰人さんの言う事きく必要ないじゃん、今度はもうなくていいっ。」

「へぇ、そんなこと言うんだ。じゃぁ今度じゃなくて今にしよう。」

「はぁ?っつ……わぁっ、ちょっと!」

そう言ってまた押さえつけられた。いくらなんでもそれは冗談で流してくれるよね…と思いながら「今度!今度ある。今度にする。」と叫んだけど、信じられないことに今度にはしてもらえなかった。「イク回数は一緒がいいだろ?」とニヤリと笑う彰人さんがまた恐ろしく美しい悪魔に見えた。だからそれが正気の沙汰とは思えないんだと何度教えられるんだろう。

「イイ」と「もっと」なんて使えるはずがない。そんなスキルはないのをわかっていて、強がる私を甘やかさないのにも程がある。でも一度通ってしまった道はもう恐怖の道ではなかった。究極の嫌なことがこんなに簡単に受け入れられる自分の感覚も不思議に思えた。

それでも私はジタバタと暴れることがやめられなくて、また無駄な体力を使う。そしてうるさい音がもう終わってしまっているのが気になって、音楽をかけてくれと頼んだのに「耐えて。」と残酷な返事が返ってきた。

なんでここまで安らぎをよこさない!!!!
ぜんっぜん、快くない!不快の嵐だ、バカ野郎!

そう思いながら、快感に囚われつつも耐えた自分がまたかわいそうで仕方なかった。もう汚れきったと思ったら逆に気持ちよくイってしまえとも思えた。

そして帰り際、頭の中をドロドロなイメージで駆け抜けて行った恐怖の思い出になるだろう「吐き気がするほどロマンチック」な曲を貸してくれと彰人さんに言ったら、見たことのないくらいの極上な笑顔で「あげるよ。」と渡された。

逃れられなかった。逃げ切れなかった。
もう引き返せないところに今、自分がいると実感した。

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| 【恋愛】B面トライアングル | 00:00 | comments:2 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT

うわぁ・・・
これは、かなり変態なシチュエーションいっちゃってますね・・・
でも、イッちゃったかずみちゃんにカッコ良さを感じるのはナゼでしょう?
やはり彼女は、猛獣になりうるケモノなのでしょうね、本来、イッちゃった時のヘロヘロ感を微塵も感じさせない所が実に逞しいです。
しかしながら弟はダメです。こいつは憎たらしいです。
が、しかし、そう思うという事は、やはり彼にはサディストとしての血が流れているのでしょう。
うん。この弟、アナドレません。
 
おもしろかったです!!
次回も楽しみにしてます!!

| 愚人 | 2011/07/20 20:39 | URI |

>愚人様

◆コメントありがとうございます◆
変態度数、上がっちゃいましたかね。彰人さんが登場するともうどうしようもないですw
かずみは逞しく成長中。猛獣になるのはいつになることやら。
でも強そうに見えてもわりと受け入れ型です、彼女。
しかし流されてもたいして悩まなければ悲恋な話にはなりませんから、底抜けに明るい変態純愛物語という変なジャンルになるのでしょう。

さて、弟、藤崎。憎たらしいですよね。
次回も憎らしさ大爆発な藤崎。
そして彰人との関係が慶太にバレてしまう、重~たい章。
事実を知った慶太はどう出るか。
まだまだトライアングルな予感は続きます…って、長い。長いんですよ、もう疲れた。書きなぐるのはいい。しかし、まとめあげるのが厳しい。もう完結してますがコレ、先が長くて面倒になって中身抜いて最終回無理矢理くっつけて、「USB接続狂の宴」に行ってしまいそうな私がいる…。

時間が有限なのが憎いです。
無限の時間が欲しいです~(涙

| 玉蟲 | 2011/07/20 22:31 | URI |















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