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B面トライアングル<13>

B面トライアングル<13>【公認中学生カップル誕生】

翌朝、少ない睡眠時間で学校へ行く私の足取りは重かった。悪夢のせいで朝から気分も悪い。そして憂鬱な表情で学校へ到着するとクラスの人々を見て、またもや勝手におかしなことを考えてしまう。

あのコもそのコもあのデブも…みんな複雑な思いで足とか舐められるんだろうか。あいつもそいつもあのバカもみんな好きなコの表面積とか味を気にしているのだろうか。あのゴリラみないなのも?そんなことを考えて全身に鳥肌を作ってしまった。勝手にそんなことを想像して申し訳ないけれどクラスの男子に気持ち悪さを感じてしまう。今頭の中をのぞかれたら私は間違いなく恥ずかしくて死ねる。

そしてそんなことを考えていると、今まで学校で話しかけてくることのなかったケイちゃんが突然私の席の目の前に立った。自然と思ってしまう。ケイちゃんも表面積を…やめよう。もうやめたい。考えちゃいけないと思うのに頭が勝手にそういうことを考える。私にこんな恐ろしい第二の精神的苦痛までをも残す強烈な行為を普通だと語る彰人さんはやっぱり恐ろしい人だと思った。

「かずちゃん、どうしたの?具合悪い?」

身体の具合が悪いというよりも、頭の具合がいまいちな私にケイちゃんが言った。

朝、シャワーを浴びたけれど昨日の余韻がまだ消えないように思えて罪悪感に押しつぶされそうになるからケイちゃんの顔が見れない。ケイちゃんの前で普通にできない。私は一体何がしたいのかわからなくなる。ケイちゃんを好きなのにこれでは絶対に明るい未来はない。うつむいて押し黙る私にケイちゃんはもう一度声をかけてくる。

「どうしたの、かずちゃん。」

そして今度はそんな様子を見ていた隣の藤崎が、小さな声で

「あ、そういえばおまえら付き合ってんだってな。
吉貴さんから聞いた。」

と、余計すぎることを言ってきた。イラっとして藤崎の方を見てイヤな顔の一つでもしてやろうと思ったけど、今度は藤崎の顔もまともに見ることができないことに気づく。昨日のあの時間、コイツは隣の部屋で寝ていたんだと思うとどうしても思い出してしまう。最悪だ。

頭が痛くて眠くて気分も悪い上に、ケイちゃんの顔も藤崎の顔も見れないからうつむいて答えるしかない。

「付き合ってるけど学校でそういう話しないで。それから誰にも言わないで。
あと私は具合が悪いから保健室に行く。」

それだけ言ってよろよろと席を立ち保健室へと向かった。心配そうに「大丈夫?」と優しく声をかけてくれるケイちゃんをまともに見ることができないのが悲しくてたまらない。世間では浮気をする人は悪いヤツとか軽いヤツだなんて言われているけど、こんなにも重たい気分を押しのけてまでそんなことができるんだからちょっと尊敬できるかもしれないと思ってしまった。そして考えても仕方のないことを考えるのに疲れてしまい、私はいつ間にか保健室のベットで熟睡していた。

午前中を保健室で過ごし午後から教室に戻った私は、重たい頭を起こすことなく魂の抜けた肉体のようにうなだれていた。でもいつもの根暗人間が更に火の玉を背負っているだけだから、ケイちゃん以外の人は誰も私の小さな異変には気付かない。隣の藤崎もそうなのだろう、一番触れられたくないことになんの遠慮もなく触れてくる。授業中だというのに容赦なく話しかけてきた。

「なぁ、いつも立河と一緒にいんの?家、目の前なんだってな。」

小声ではあるけれど、藤崎は目立つから誰が聞き耳立ててるかわからないのにそういうことを言う。その神経が大嫌いだと思うのと、彰人さんに妙に似ていて腹立たしくなる。

「だから、学校でそういう話しないで。」小さな声でそう言った私に、

「大丈夫、誰も聞いてないって。でも付き合うってことはアレだろ?部屋でくっついたりしてるワケだろ?」

と、下品な方向へもっていきたい下心見え見えの返答。

今が授業中であるとか、学校では根暗人間を通すとか、ケイちゃんに迷惑をかけられないとか、私の心のカギは何重にもかけられているけれど、それでもそのカギはいとも簡単にガションガションと次々に壊れて行ってしまいそうだった。

今すぐコイツを蹴り飛ばして黙らせたい。

そんな思いに支配されてしまいそうだ。私が懸命に耐えているのに藤崎は「どっちから言ったの?」とか「立河って優しい?」とか私の理性をブチ切れさせる材料をたくさん提供してくれる。恋愛感情がない分、彰人さんよりも確実にムカつく。そしてそんなことに気づいて彰人さんには確実に恋愛感情があると認識させられて少し落ち込んだ。

とにかく藤崎に黙ってもらわないと私は何をしでかすかわからない。一瞬キッと藤崎を睨みつけた。でも藤崎と目が合ったら、藤崎にはなんの関係もないのかもしれないけど、私が頭が真っ白になるくらいな目に合っている時に隣の部屋なんかでぐっすり寝やがってこの野郎と、ムショウに憎たらしくなった。おまえの兄貴は完全なヘンタイだぞ、昨日私の足を舐めまわして喜んでいたぞバカ野郎と言いたくなってしまう。

ダメだ、落ち着こう、そんなことを言ったら大変な目にあうのは私だ。それにその辺は藤崎が悪いわけではない。これではやつあたりだ。冷静になろう。私がそう思って言葉を選ぼうとしていると藤崎は、

「もしかしてもうヤッタ?」と、最低な質問を投げつけてきた。

その言葉に静かにプツリと切れてしまうのが自分でわかった。「ヤル」「ヤラない」という言葉を口に出して藤崎に説明するのも心底イヤだ。女の子である私が「ヤってないよ?」と笑顔で言えるとでも思っているんだろうか、この男は。そういうのが一気に面倒になった私は、横目で藤崎を睨みながら、

「だったら何?何かモンダイでもあんの?」

と、ついつい肉体関係を認めるような発言をしてしまった。でも実際「ヤッタ」と言えんのはてめぇの兄貴だよ、と心の中で思ったら黒い笑いが込み上げてくる。知られて困るのはもちろん私だけど何にも知らないでこんなことを言われるのも腹立たしい。藤崎は少し驚いている様子で次の言葉よよこさない。だから今度は私が藤崎に言ってやった。

「ほっといてくれる?
あんたに報告とかする義理ないでしょ。」

「わぁ、大人しいと思ったら意外と辛口なんだ。」

「違うよ、あんたが嫌いなだけ。」

ああ、とうとう藤崎に対して嫌いだと言ってしまった。そして堂々と嫌いだと言う私に対して藤崎は

「ふーん、オレも実は嫌い、おまえのこと。」

と、予想外の言葉を返してきた。私が「嫌い」と言った言葉に対抗して「嫌い」と言ったようには見えなかった。不思議とその「嫌い」という言葉に私よりも根深い何かを感じ取ったけれど、大きな原因が考えられるわけじゃない。

「じゃぁもう話しかけないで。」と私が冷たく言うと「わかったよ。」とだけ返して私たちの会話は終了した。目線を机の上の教科書に持っていくフリをして隣の藤崎の教科書を持つ手を見た。その手が作り出す音だけは、本当はすごく好きだと思っているから少し複雑だったけれど、どうしようもない。嫌いな理由がお互いあるからこそ、嫌い合うのであって、嫌いなのであれば近付かないのが一番だ。しかし藤崎が私を嫌う理由とは一体何なのだろう。私が嫌うように藤崎にも私を気に入らない何かがあるのだろうか。人は好き合ったり嫌い合ったりと面倒な生物だと思う。それでも誰かに恋をするのが不思議だ。きっと遺伝子的な何かに操作されているんだとわかっていても感情は自分で操作することができないから困る。

兄弟の兄に異様に好かれ、弟には原因不明で嫌われるっていうのもめずらしいと思った。

藤崎との間に生まれた溝によって私はまた別のことに気をとられ、ケイちゃんのことについて真面目に考えるのをすっかり忘れてしまっていた。放課後になりいつものように一人で帰ろうとすると、ケイちゃんがやって来て「一緒に帰ろう。」とびっくりな大胆発言をする。どうやらケイちゃんはもう隠しておく気がないようだ。でもそれはそれでやっぱり困る。私は人の注目だけは浴びたくない。

「後で行くから…別々に帰ろうよ。」と小さな声で言う私はまだケイちゃんの顔を見ることができない。

「かずちゃん様子変だよ、この間から。
やっぱ無理矢理だった?イヤだった?嫌いになった?」

ケイちゃんの言葉が重たく胸のあたりに圧し掛かった。ケイちゃんはケイちゃんで私の様子がおかしければいろいろと悩むはずだ。こうやって気遣ってくれるケイちゃんに申し訳なさすぎて胸が痛くなる。これでは私が極悪人だ。

「なんでも…ないし、そんなイヤとかじゃないよ。嫌いになんてならない。ただ、クラスでそういうふうに見られるのが恥ずかしいだけだよ。」

必死の弁解というかなんというか。嫌いになるよりも嫌われる原因を持ってるのはこっちだから複雑な気持ちだ。

「藤崎にバレてるんだから、時間の問題だろ?
得意の開き直り、ここら辺で発揮してよ。帰ろ、一緒に。」

「…うん…。」

ケイちゃんの気持ちを思うとこれ以上突っぱねられなかった。同じクラスの男女が仲良く下校する姿は珍しいからすぐに噂になることは確実だ。そこに藤崎の適当節が加わればすぐに公認カップルとして有名になるだろう。それでも根暗人間でいられるだろうか。誰にも興味を持たれずに大人しくしていたいだけなのに、なんでこんなに周りが騒がしいんだろう。面倒だと思ってしまう私はけっこうヒドイヤツなのかもしれないけどそう思ってしまうから仕方ない。

「ケイちゃん、一緒に帰るのはいいけど、手とかはつながないよ?」

と、そんなことを言う私に、ケイちゃんは少し笑って

「さすがにそれはオレもできない。」と答えた。

やっぱりケイちゃんのこの温度が好きだと思った。

私たちは2人で歩くのだけれど、その距離は近くもなく遠くもなく、友人とたわいもない会話をしている距離で進む。下校時間で学生の多い道でも、特に恥ずかしそうにしていなければそんなに違和感もないのかもしれないと思った。

彰人さんがつけた印が身体中にあることがどうしても罪悪感につながるから、思い出す度にケイちゃんの目を見れない瞬間が生まれてしまう。隠し事なんてそうそう上手くできないものだということを経験中だ。そして、彰人さんの言葉が脳内で蘇る。「男はそう簡単に許せなくて結局別れる」とか「これで慶太の前では脱げない」とか。

よく考えたら私の身動きなんて最初からとれないんじゃないかな。どこかで何かを壊さない限り、脱出は不可能なのかもしれない。ケイちゃんの前で脱ぐ気なんてまだぜんぜんなかったけど、彰人さんに「脱げないね」なんて言われると妙に脱ぎたい気持ちになってしまう。困難に向かって行くなんてバカだと思うのに、おかしなチャレンジ精神が暴走しそうで自分が怖い。

ケイちゃんと歩く普通な会話の中、頭の中に真っ黒な影がチラチラしているようで息苦しさを感じながらも、一生懸命普通を装った。

家に着くとすぐに着替えてケイちゃんの部屋に向かった。そしてケイちゃんは私の存在を確かめるように強く抱きしめる。それがすごく気持ちよくて安心できる。ずっとこのままでいたいと心から思う。こんなにケイちゃんを好きだと思えるのに、なんで私は彰人さんをいつも受け入れてしまうんだろう。私はどの辺が壊れているんだろう。何をすれば許されるんだろう。考えてもわからなくなる一方だ。

これは思春期?いや、なんか違うような気がする、とおかしな自問自答をしながらケイちゃんの体温を感じていた。するとケイちゃんが静かに口を開く。

「あのさ…無理にしなくていいって思ってるけど、実はちょっと辛い。」

「えっ?」

「だからこうやって2人きりになるとどうしても厳しい。」

厳しいとは一体どういうことだろう。「したい」と思うのは男の子なら仕方ないとしてもなんで厳しいんだろう。今までずっと2人でいたのにある日を境に突然厳しくなったりするんだろうか。男の子の事情はなんとなく知っているけれど、そんなに突然変わってしまうものなのだろうか。

「厳しいって…今までだって2人だったじゃん?」

私がそう言うと、ケイちゃんは私を突き放すように抱きしめていた腕をグッと離してゲームの電源を入れてからテレビの電源を入れた。そしてそのまま画面を見ながら、

「そうなんだけどさ…わかってるんだけど見るとダメ、くっつきたいけどくっついたらもっとダメ、触ったら止めたくなくなる。」

何と答えていいのかわからない。彰人さんのことがなければ私は自分のペースをケイちゃんに押しつけて我慢してもらうことになんの罪悪感も感じないんだろうけれど、彰人さんにあれだけ好きなことをさせておいてケイちゃんにだけ我慢させてるなんて自分が酷いと思う。

だけど肉体関係においてこれ以上二股のような関係を築き上げるのにも抵抗がある。2人とヤッテしまったのは事実だけどどちらも一回だ。まさかどちらも2回、3回と進むわけには行かない。どうしよう。正直に彰人さんのことを話してしまおうかとも考えるけど、それは彰人さんを選ぶということになるのだろうか。彰人さんの「結局許せなくて別れる」という言葉がどうしても頭から離れない。ケイちゃんに言えない。ケイちゃんに会う度に言えなくなる。言いたくないし、失いたくない。辛くてこっちも厳しい。

何も答えない私にケイちゃんはテレビの画面を見たまま、

「やっぱりどうしてもダメなの?」と言った。

そんなケイちゃんの姿がすごく愛しく思えて、私は心臓を絞られているみたいに急に苦しくなった。そしてそんなことを言う気じゃなかったのについ、

「…ダメじゃないよ。」と答えてしまった。

ダメなのに。絶対ダメだし、物理的にもダメだろう、だって悪魔の赤い斑点がたくさんある病的な身体じゃないか。言ってしまってからどうしようかと考えたけどもう遅い。ケイちゃんは私の方に向き直りもう一度私の身体を強く抱きしめてから、そのままベットの上に押し倒した。

ヤバイ、ヤバすぎる。恐ろしい痛みはちょっと置いといて、その前に斑点。この身体中のキスマークを見られるわけにはいかない。ぜんぜん別な意味で心臓がバクバクしてきたけれど、どう考えても今はここから脱出しないと大変なことになる。

「ダ、ダメじゃないかもしれないけど、いっ今はダメっていうか、その、やっぱりダメっていうか、ダ…」

最近思った。キスはうるさい口を黙らすためのものであるということを。ケイちゃんも彰人さんも話をさせたくない時はコレだ。でもこのまま進んで脱がされちゃったらもうお終いだ。どうにかして止めないと。

「ちょ、ちょっと待って、夜!せめて暗くないと!」

私は夢中でそう叫びながらケイちゃんを止めた。私の口はドツボにハマることばかりを言う困った口だと思う。自分からこんなことを言ってしまっては肉体関係を進めることになってしまうのに。

「夜?今日の?」

「いや、今日は無理だよ、明日学校だし。」

本当は二日連続で夜中に遊んでいたら身体がもたないからという最低な理由によりだけど。

「じゃいつ?」

「え、えと、一年後?」

「またふざけてる、憎たらしいなぁ。
一年後とか言うならもう、今。」

「今はダメ。」

「…だって、こんな目の前にいるんだもん。
もうどの辺見てもヤバイ。」

ついこの間まで早くオトナになりたいと思っていたけれど、今はあんまり急いで大人にならなくてもいいのではないかと思ってしまう。誰かと付き合うことがこんなにも体力のいることだとは思っていなかった。状況が異常といえば異常だからかもしれないけど、恋愛は体力勝負でもあると思う。

「一週間くらい…かな。」

キスマークってそのくらいあれば消えるんだろうかと考えながらの最低なセリフ。それからついでに「足とかって舐めたい?」と聞いてみたいけどそれだけはしちゃいけない。ダメだ。私はもしかしてどこかが腐っているのかもしれない。ケイちゃんは私を好きでいることを考え直した方がいい。

「わかった。一週間なら耐えられる、
…でも今少しだけ触ってもいい?」

私が「いいよ。」と答えるとケイちゃんは遠慮がちに私の髪をサラサラと触る。突然足を舐めまわすバカ野郎とは大違いで泣ける。コレがいいんだよ私だって!と誰でもいいから誰かに訴えたい気持ちになった。それからケイちゃんは肩を優しく抱き寄せて、

「長い髪。ホントは会った時からこの髪に触りたかった。」と呟いた。

吸い寄せられるように気持ちが持っていかれるのがわかる。髪くらいいつだって触っていいのにと切ない気持ちになる。それに私だってケイちゃんの真っ黒な髪に触ってみたいと思ってる。触れることで苦しくなるくらいお互いを意識する胸の高鳴りが怖いけど、どこかで確実に欲しいと思ってる。ケイちゃんが「厳しい」と言うのもこういう気持ちだろうか。

でもこのままあんまりトキメクのも困りものだと思い、つい茶化してしまう。

「だけど気持ち悪いから「ケイちゃんて呼ぶな」って言われたよ?」と少し意地悪な顔をしてケイちゃんをのぞき込むと、

「あの時は恥ずかしくてどうしていいかわかんなかった。」と笑う。

もうこんな瞬間は私だってすごく抱きしめたいって思う。でも抱きしめたいのは抱きしめたいし、くっつきたいけどヤルのは別で痛いのがヤダ。男と女にはこの辺の差があってもめ事なんていうことがあるんだろうか。コレも一つの葛藤か。

いつだって私はケイちゃんといる時、何度もケイちゃんが好きだと再確認している。ケイちゃんの腕に寄りかかってこの腕にだけ居たいと思いながらケイちゃんの方を見ると目が合った。

こんなに自然なキスは初めてだと言えるくらいに言葉もなく唇を重ねていた。

「明日、朝も一緒に行こう?学校。」と言うケイちゃんに私は「うん。」と答えていたけど、少しだけ根暗人間計画に響くとも思って何とも言えない気持ちだった。


翌朝から私はケイちゃんと登校と下校を一緒にすることになった。当然クラスではその話題でもちきりの様子。そして私よりもケイちゃんの方が大変そうだった。私は誰に話しかけられても基本的に頷いたり首をふったりするだけなので、どうしてそんな変な女と付き合ったりするんだとケイちゃんが思われているようだった。でも私たちが幼なじみだということはすぐに広まったらしくて、結局幼なじみの根暗な女がほっとけない優しい立河くんが、お友達のように傍にいてあげてる説が有力といったところだった。

そりゃ誰も思わないだろうと私も納得できた。会話もろくにできない根暗人間にそんな艶っぽい話題が当てはまるワケがない。ここで「もうヤッタ」とか言ったら誰かは腰を抜かすだろうかと考えて、一人でクスッと笑ってしまった。

それからケイちゃんとの約束の一週間の間に吉貴くんにライブハウスに誘われたけれど、行けば必ず彰人さんに捕まってしまうと思ったから行かなかった。というより行けなかった。捕まって身体に触れられるのも、そして気持ちが囚われるのも怖かった。

でもライブの行われたその日の夜は、行くことができる行きたい場所に、行かない自分がどんどん取り残されていくような気がしてイライラした。部屋で一人きりでギターを弾きながら、ステージに立てる藤崎を思うとたまらなく苦しくなる。やりたいことと恋愛はどちらが大事かと問われても私にはわかるはずもない。まだどちらもスタート地点なんだろうから、これから悩みつつも選んでいくんだろう。その時私はどちらを選ぶのか…。

窓から見える星空と高台に位置するこの場所から見える町の明かりを見ていると妙に寂しいのにわくわくしてきて、誰か一人の腕の中になんてじっとしていられるとは思えない。

ケイちゃんの腕の中にいる時限定で、そこに居たいと思う自分と、どこかに向かって真っすぐ突き進みたい自分はいつか正面からぶつかる時が来る予感がする。私を呼ぶものがあの町の光の中のどこかに今ある。遠くて遠くて今はまだ届かないけれどいつか届く日が来るはずだと思いながらいつまでも窓の外を見ていた。

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| 【恋愛】B面トライアングル | 00:22 | comments:2 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT

結局、かずみちゃんは優しいんですよね。
髪を撫でるケイちゃんと足を舐める彰人さん。
そんなスケベイな男達に挟まれた優しいかずみちゃんが、今後どうなってしまうのか気になって仕方ありません。
かずみちゃんの事を嫌いだと言いきった弟も要注意です。
これはきっと伏線ですね。
今後、弟がどう豹変するか楽しみに見守りたいと思います。

ところで、昨夜僕は玉蟲さんに物凄く叱られる夢を見ました。
どうして叱られたのか覚えてないのですが、玉蟲さんは散々僕を叱り飛ばした後、ニヤリと笑いながら「カキ氷をおごってやる」といいました。
これも何かの伏線なのでしょうか?・・・・

次回を期待しております。

| 愚人 | 2011/07/14 20:38 | URI |

>愚人様

◆コメントありがとうございます◆
普通、髪を撫でる男と足を舐める男だったらどちらがいいもんなんですか?とマトモな神経の女の人にぜひ聞いてみたい玉蟲でございます。そんな男に挟まれた時、あなただったらどーします?と。
かずみが優しいかどうか…難しいトコロですよね、フタマタはいくないw
弟、藤崎。彼が今後どのようにかずみに関わるのか。とにかくいろいろ上手に表現できたらいいなぁと思っております。
今後も嵐のような展開が待ち受けているBT。いたいけなかずみをどうか見守ってあげて下さいませ。

ところで、夢。
実は不思議なんですけれども、私はやたらめったら人様の夢に勝手に出演しているらしく、よく「あなたの夢を見た」と言われるのです。そして大概暴れているか怒っているか歌っているかという状況でして、優しくされたと言われたことがありません。愚人さんの夢の中でも一体何に怒っていたのでしょうねぇw

かき氷、もちろんおごりたいですけど、裏路地にある小さな汚い駄菓子屋の隣の、入口が妙に狭い、暗くて古い喫茶店のかき氷でないとダメなんです。冷房もきいてるんだかきいていないんだかわからないような店です。人相の悪いジジイが一人でやっていて、ナポリタンは味が濃すぎて全部は食べられません。かき氷を注文する時に、オシャレに「レモン」とか言ったら遠慮なく「かき氷はいちごだろ!」と張倒しますので気をつけて下さい。
帰りに隣の駄菓子屋で湿気たふがしも買ってあげます。私はヒモの着いた着色料バリバリの蛍光ピンクの三角の飴を買って途中まで舐めますが、そのうちいらなくなってヒモをぶんぶんふり回した揚句、「あげる。」と言って愚人さんに渡しますが、それでもいいですか?

だから、次回分の校正がもうイヤになったからって、こうやって逃げるな!と今、自分を叱っときますね。では。

| 玉蟲 | 2011/07/14 23:06 | URI |















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